主人公の殺し屋ジョン・レインは日本人とアメリカ人のハーフ。彼はいきつけのライブ・ハウス〈アルフィー〉でジャズピアニストのみどりと偶然に出会い、恋に落ちる。ところが、みどりはつい先日の依頼で、山手線の中で殺した川村という男の娘だった。そして川村が死んだ時に持っていたはずのディスクをめぐって事件は起こり、二人はそれに巻き込まれて行く。
作者は在アメリカ日本企業に弁護士として勤めるアメリカ人。自身も仕事で日本で暮らした経験があるとのことで、小説の中でも東京のあらゆる場所の描写が精密に書き出されている。それは観光でしか知らない外国人の目から見た東京ではなく、実際に暮らしている我々の視点に近い。が、視点は近くとも感じるものはアメリカ人としてのそれだ。しかも主人公は先に書いた通り日米ハーフ、アメリカも日本も故郷と呼ぶにはどっち付かずで、幼い頃も混血である事を理由につまはじきにされるという避けては通れない道を通って来た。いくら視点はそこで暮らしている人間とち近くても、どちらにも属する事のできない独特の視点。アメリカでの思い出の描写も日本での描写もどちらも「外側から」見たものなのだ。主人公のそういった微妙なスタンスを感じる事ができた。ストーリーの進め方も勢いがあり、一気に読み進める事ができる作品。(朝) |