表紙には丸いシールが貼られ「映画化」と書かれてあった。そうか、映画化されるのか…。映像化された物が割と明確に頭の中に浮かんでくる作品。今どきっぽい感じの異様に軽い(または必要以上に重〜い)物にならないでほしいなぁと思いつつ。
主人公のダン・ウィアーは、2m近い身長で見た目もフリークス(と本人は言っている)っぽく強面の男。しかし、その外見とは裏腹にシャイで繊細なアーティスト。作曲には絶対の自信を持っていても自分が前面に出て歌うことは決して考えず、自分の作った曲を最大限に活かしてくれるバンドを見つける。彼は常に後ろから世界を動かそうとしていた。そして彼が想像していたよりも簡単にバンドは有名になり、あっと言う間に大金持ちになる。自分から他人との間に一線をひいてしまっているが故に孤独な主人公の思い出をとつとつと語る、という内容。
お決まりの「成功者が堕ちてまた這い上がるまでストーリー」と言えばそうなんだけど、最後まで飽きずに読めたのは、語り口調と視点がが最初から最後まで主人公の物で統一されているので、全編を通して読めば主人公の気持ちが良く分かるから。根っからのプラス思考で「自分は他人の事をよぉ〜く分かっている」つもりになっている人には向かない小説。(そういう人は多分この主人公はあまり好きなれないんじゃないかな)決して主人公は嫌になるくらい暗〜い人間ではないと思う。ちょっと自殺を考えていただけなのだ。ラストシーンまでの印象の割にはラストが明るいから「ハッピーエンドじゃないとイヤだな」という人にもオススメできる。
人間って色々な色をしたキャンディーが入っている透明なビニールの袋みたいだなと思った。それぞれの袋の中身はみんな違っていて、同じオレンジのキャンディーが入っていても量が違ったりする。だから袋全体の色も皆それぞれ違うように見えるんだなぁ、なんて思ったりした。(朝) |