NAKATA.NETと月刊ソトコトで連載されていた作品。アマゾンのカスタマーレビューでも「駄作」だの「中田選手の株まで下がりそう」だの散々な批評しか書かれていない。そんな中でも必ず言われる事は、「サッカーの試合の描写」のスゴさ。サッカーが何人で行われるのか、どんなゲームなのか全く分からない人にはツライかもしれないが、ちょっとでも知っていればその文体の勢いと試合展開の描写にあっという間に引き込まれてしまう。
物語はセリエAを主軸にサッカーにまつわるミステリー。セリエBやセリエCの試合で(しかもそのチームにとって重要な試合で)大活躍した外国人選手(ここではヨ−ロッパ人以外の人達ってことね)が試合の後、心臓麻痺で死んでいる。主人公「ケン」は、セリエAで活躍する日本人選手の冬次から、相次ぐ選手達の死の話と「究極のドーピング」の話を聞く。そしてアルルへと向うのだが…。
せっかくミステリアスな題材も舞台も揃ってネタ振りしているのに、サッカーの試合とイタリアの描写ばかり一生懸命書いて終わってしまいました、という感が否めない。連載をチェックしていた時は「どうなるのかしら!?」とドキドキしながら読んでいたのだが、最後あっけなく終わってしまって拍子抜けしてしまった。村上龍、好きなんだけどなぁ…。奇妙に洗練されてしまったのか単に歳を取ってしまったのか分からないが、ギラギラした感じがなくなって個人的には少々がっかり。昔は間違い無く、吐き気がする程の、ザラザラしてるのになぜか輝いてるわけのわからない存在感があったはずなのにー。強いて言えば文章に、人を引きずり込むだけの勢いはまだ残っていると思う。もう少し我慢して龍先生の大作を期待します。(朝) |